2012年4月13日金曜日

・レベル別のクラスは作りたくなかった(感想より)




普通,何かのビジネスは,上を目指させる,憧れさせることによって,
成り立たせようとします。もっとお金持ちになれますよ,とか,
もっとスタイルよくなれますよ,とか,である。

残念なのは,その先には必ず,既に誰かが立っているということだ。
からだ系の業界はそういう傾向は特に強い。

敬愛する野口三千三先生はレベル別クラスを生涯作らなかった。

さて,水出さんインタビュー第二弾。
草津温泉でクラスをリードする水出さんのところには,
80歳を過ぎた方もいらっしゃれば,ばりばりのスポーツ選手も来る。
さて,どうする?

ーーここからーー


M:当時は,長く続けられる仕事を探してたっていうのもありました。だって年齢もかなりあがってきているし,子育ても落ち着いてきて,また一(イチ)からスタートしたところという感じだったので,これからやっていく仕事は落ち着いて一生の仕事,そんなスタンスのものを探していきたいというのが自分の中にあった。なので,今のままではきついなというのが大きかったかなと思います。

Y:自分がまずキツイというのがあった,と。他にも例えば,自分がキツイと思ってるものを来てくれている人に提供していることに無理を感じていた,ということもありますか?

M:それはないかもしれませんね。今もそうですが,私は割と相手の人が中心のレッスンをするタイプなので,相手に合わせて内容を変えていくというケースが多かったんです。

例えば集まってくれた生徒さん達の年齢や顔ぶれ,疲れ具合を見て今日は軽めにしようとか厳しめのレッスンにしようかとか,動きを選んでレッスンをやっていたので,みなさんにとってもキツイものになっていたとは思わないけど,どうでしょうね。だから生徒さんがキツイとはあんまり思ってはないかと思うけど・・ほら,キツイのが好きな人はいるから(笑),そういう人にはそういうレッスンになるけど。まぁそういうレッスンを組み立てようとしていたから大変だった。生徒さんを選ぶというか,一緒にレッスンできる人が限られてた。

Y:なるほどね~

M:このクラスは楽なクラス,このクラスはキツイクラスって,そのクラスごとの参加者の顔ぶれが決まってくるというか,融通が利かなくなってくるというのはあったかもしれない。

Y:それは面白いですね。

M:レベル分けじゃないですけどね。そういうのはしてましたよね,自然に。例えば,「先生何曜日にレッスンしてるんですか?」と聞かれると,その生徒さんを見て年齢やタイプを考えて「何曜日のこのレッスンがいいんじゃないですかね」と最初からそう勧めてしまう。

Y:それは嫌だったんですか?僕が一番初めに草津行った時に水出さんは,「ピラティスだったらいろんな人を同時にレッスンすることはできないけど,フェルデンクライスだったらできるのではないかと期待して,お呼びしました」とそういう言い方をしてくれたんですよね。僕はそれにすごく感動したのですが,そういうことが当時からやりたかったんですか?

M:自分でもなんであの時そういう言い方をしたのかよくわからないんですけど,嫌だったのかもしれないですね。「これができるからすごい!」みたいな,そういうのは元々あまり好きじゃない。

Y:というと?

M:個人レッスンではなく,グループレッスンでやっていると,どうしてもクラスの中で長くやっている人や運動神経のいい人,スタイルの良い人が,自然と羨望の眼差しで眺められる風になってしまうわけです。逆に,うまく出来ない人は,一生懸命レッスンに来てくれていても,やっぱり出来ないっていう風に,レッスンを重ねるごとにそういう気持ちになってしまう。

それでいいんだよ!と言葉掛けをしていたとしても,見本があってそこを目指していくという限りは,上手な人とそうでない人と,どうしても誰の目にも明らかになって出てきてしまう。

そういうのはあんまり好きじゃなかったし,難しいところだなぁと思っていたんです。ずっとモチベーションをキープしていくというか,また来たい!と思ってもらえるクラスにしていくということを考えると,そこはどうしても難しい。出来る人は気持ちよくレッスンに来られるかもしれないけど,自分はダメだって思ってしまう人達がモチベーションをキープしながらレッスンに参加し続けるというのは,すごく大変なことだと思う。

だから逆なこと…たとえば小さい頃から運動神経が良かった人が,ある動きを全然できないとか,そういうのがあったら面白いなぁって思ってた。ハーモニー体操はそういうことの連続だから,そういう意味で,今とっても面白い!

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